その日、その国の最後の皇女が死んだ。
しかし、国民に事実は知らされない。むしろ、皇女が何人いたのかでさえ、国民は知らないのだ。知られてはいけない。それは昔から決まっていたこと。しかし“いつから”なのかは誰も知らない。
知らないことばかりの王室。けれど、国民にとってそれは瑣末なことだ。
彼らにとって大切なことは、幸せな日々。強国に怯えることなく、飢えに苦しまない絶対的な「明日」がやってくること。
だから気づかれない。
“呪い”によって、歴史の隅に追いやられた悲しき皇女たちの存在を――。
少女は、城から聴こえる悲しげな鐘の音で顔を上げた。
「……また、鐘の音」
泣き出しそうな空を見上げ、小さく呟く。
自分に関係のないことだとわかっていても、なぜか心が痛んだ。
「ユーティリアー!」
慎ましやかな家からあがる元気な声に、少女・ユーティリアは振り返る。彼女は、これから自分の身に起こることを知らない。
みたいな話を書いてます。ちょこちょこっと。
前に書いていた「死にたがり~」(なろうでのみ連載、現在作品おとしてます)の完全FTです。前回、現代FTで書いていたら話が続かなくなったので「これ、FTにしてみようかなぁ」と思ってプロット練っていたら話が進みました。
ちょっとこれも書きつつ、今手元にあるお話も書き進めています。
亀のようにのろのろしておりますが、がんばりますです。